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『ヴィレッジ』感想

cry_condor2004-09-14


 シャマラン監督の『サイン』を楽しんだ身としては今度の作品もそこそこのストライク。ネタはSFファンならすぐに解ると思うんですが(というか、もうそれしかないだろ!という伏線の張り具合)、調理の仕方が実に上手いので、気にはなりませんでした。何よりこのネタの映像作品というだけで、個人的には見る価値があります。

 『サイン』ほどの"びっくり箱"はない訳ですが、あれよりやや現実味を帯びたテーマだけに、途中に織り込まれた人間模様が効いてくるんですね。
 『サイン』では人間関係と物語性の「断絶」を掘り下げたところに妙があったんですが、今回は『シックス・センス』の頃に戻ったか、ちゃんとした叙述トリックの作品になっています。

 作家の綾辻行人が『シックス・センス』を観て「最初の10分でネタは割れるけどよくできている」と評したように、今回もネタより引き込みが強いタイプの作品………とくどくどと書いてきましたけど、ホラーファンとしてはもう少しでやっば違うのか?と思うところでした。
 というのも、「何か」の造形に目がいってしまって。
 クリーチャーがどうなのか、というのはホラー映画を押さえる上で欠かせない訳ですが、根がB級ホラーファンなので造形が多少トンチキでも目を見張ってしまうんですね。そこが逆にトリックになってしまってというか………あわわ、ネタバレになってしまうので、この話はここまで。

 同時に、ディストピア嗜好の身にとっては少々オチが物足りないなと思いつつも(最後に………ねぇ? そうなっているんだかと思いませんでした?)必見の秀作。

 ヒロインのアイヴィー・ウォーカー役をブライス・ダラス・ハワードという目線がちょっと狂気じみたイイ感じの女優が好演。何とロン・ハワードの娘さんなんですね。来年にはキチガイ監督ラース・フォン・トリアーの作品にも出演とかで、今後が楽しみです。
 キチガイといえば村のちょっとアレな人(重要)を演じたエイドリアン・ブロディもなかなかいい。

 予告編を観るならしっかり観て、観ないんなら全く観ない、という状態での鑑賞がオススメ。あ、パンフにはものすごいネタバレ満載なので、上映後まで全く観ないように。