Radio CON$

CON$のブログ。アニメとかホラーとかレトロゲームとか好き。

『ドッグヴィル』

 Radio CON$とのクロスポストです。

 ずっと感想書かないでいましたけど、ラース・フォ
ン・トリアー監督の最新作という事で封切日に観にいきまし
たよ。場所は銀座でガラガラでしたけど、これから拡大ロー
ドショーするので安心です。

 柳下毅一郎が「人工的な物語にウンザリ」と評していました
けど、まさにその通り。
 役者からほぼ全員嫌われ、批評家からも嫌われたラース・
フォン・トリアー。
 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でかなりウンザリ系ラスト
を世界中に披露した監督。
 それでも、ラース・フォン・トリアーには何かある!と思
わせてしまう何かに満ちている作品。
 映画はどっかのバカでかい倉庫に線を引いただけのセットで
撮影されています。そこに人々が住んでいるように演じて、よう
は前衛演劇みたいな感じです。

 この作品のどこが凄いのかというと、物語を人工的に「ならし
て」いるうちに鑑賞者の「体験」に侵入させている事でしょうか。
 上映時間は何と177分。3時間近く上映されて、ストーリーから
考えるとその長さの必然性はゼロ。鑑賞中は、まるで拷問に近い
ものがあります。はっきり言って途中、一時間寝ていても別に
関係ないです。
 しかし、この長さが重要なんですね。

 ヨーロッパ映画で重要なことは何ですか?と聞かれたら、一も
二もなく「苦痛」と答えるでしょう。「映画的経験」と言っても
いい。映画内容と経験則の拒否、それらが渾然一体となって襲い
掛かる、これこそが代替品なき映画を生み出している一端です。

 ニコール・キッドマンが寒村にやってくる、なんてそれだけでも
ファンタジーなんですが、労働まですると全きファンタジー
 その延長で(ネタバレになるのでかけませんが)後半はエロゲー
か?と思えるようなあれやこれまで………。

 ラストのカタルシスといい、上半期のベスト3に入る傑作です。
 ただし、メチャ長い上に大半の人にとって確実に苦痛なので、
デートの時に観に行ったりしないよう注意。確実に破局を迎えます。