世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1)
- 作者: ハーラン・エリスン,浅倉久志,伊藤典夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1979/01/01
- メディア: 文庫
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皆様こんばんわ。
「読書感想しりとりリレー2006」も二順目に入りました。駅伝なら第一区、といった所で各走者様子を見て………と言いたい所ですが、皆さんの取り上げる本、感想に対して唸らずにはおれません。
さて前回は『キング・コング』で新レーススタートという事でいささか力が入りすぎ冗長になってしまったな、と思ったので今回は短くします。
「読書感想しりとりリレー2006」の中では唯一、海外小説を担当させていただいております。海外小説といってもどうしても英語圏が多くなってしまいますが、日本の作品にはない味わいを紹介して、たまにはそういうものも読んでみようかと思っていただければ幸いです。
乙一『暗いところで待ち合わせ』というタイトルで来たので、お題は「せ」。「それは解るけど、それでいいのか?」と取り上げるまで悩みつつもハーラン・エリスン『世界の中心で愛を叫んだけもの』にしました。
今更ながら説明するまでもありませんが、例のベストセラーのおかげで手に入りやすくなったこの本、1979年にハヤカワ文庫で発行されて、今回再読しようとして買ったのが昨年の7月に増刷されたもの。この作品がたったの十二刷しかされていないのか、と思うとSFを売るのがいかに難しいかというのがよく解ります。
とはいえこの作品、幻想文学とか受け入れる下地がないとやや難解というのも確かで、暴力を主題にした中でも語り口が印象的な表題作も、アマゾンのレビューで「何回読んでも解らない」と書かれていました。個人的には、小説というのは解らなくても読むところも含めて面白いと思うのですが………。
ハーラン・エリスンは暴力と愛を中心にした作品をいろいろと生み出しておりまして、ある意味、作品よりも有名な本人のゴシップも暴力的なものが多いです。ブコウスキーといい、私はこういう作家が好きなようで今回の再読も「こんな話だったかなぁ?」といくつか首をひねりつつも、新鮮さと親しみのある作品群に海外小説の良さを思い知った次第です。
SF好きにはもちろんお勧めですが、幻想文学好きで暴力的な味わいがOKなら是非読んでおくべき一冊です。
(以下、余談。『岩窟王』は最近アニメ化されて、その際にSF化されたんですが、ミクロ的な『世界の中心で愛を叫んだけもの』とも言うべき作品に仕上がってますね。恐らく、構想の段階で影響を受けたと思うんですが、どうでしょう)
それでは次のあちゃぞう様、「ノ」でお願いいたします。