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ジョルジュ・シムノン『メグレ罠を張る』(ハヤカワ・ミステリ文庫)



メグレ罠を張る (ハヤカワ・ミステリ文庫 16-1)

メグレ罠を張る (ハヤカワ・ミステリ文庫 16-1)



 皆様こんばんわ。
 「読書感想しりとりリレー2006」、申し訳ないです。今回は遅くなってしまいました。
 出張やら何やらいろいろあったのも確かなんですが、全て言い訳です。この先もある種の言い訳で続けさせていただきます。

 「MYSCON7」というイベントに性懲りもなく参加することになりました。
 その名の通り、ミステリが好きな方が集まって喋ったりイベントしたりするものです。
 昨年、ちょっとしたはずみで参加してみてなかなか楽しかったのですが、自分はそんなミステリ者ではないという事を思い知りそれが辛かったです。当然、参加前から自覚はあったのですが………。
 会場でいろいろな方のお話を伺いましたが、「いやーなんでまたそんなに読んでいるの?」というぐらいの人がわんさかいらっしゃいました。
 読書って孤独な作業になりがちで、そのあたりが趣味としての問題点なのかなと若造の頃は馬鹿な事を考えておりましたが、その馬鹿さが最近また再発してきたようです。「読者感想しりとりリレー」も面白そうだなという企画という事で参加しましたが、根本にはこの馬鹿なひっかかりがあるようです。
 イベントも刺激になり、ミステリ分野読書の糧になればいいなと思いつつ、開催の4/22まではミステリ強化期間です。幻想文学短編集も読んでいきたいのですが。あ、あれもSFっていうよりはミステリだよね!(その後の「SFセミナー」で逆の事を言っていそうだ)。


 今作はフランスの大家ジョルジュ・シムノンです。言い訳めいた前置きから明らかかもしれませんが、ほっとんど読んでないんですよねぇ。どれを読んだのかあまり覚えていないというのもあるけど。ただ、シムノンって著作がべらぼうにあるので、全部読んでいるっていう人はあまりいないのでは?

 今回は「め」というお題で「ず」ほどではないけど難しかった。
 またまたお世話になりました芳林堂の店頭で一時間ぐらい歩き回って悩んでこれを取り上げましたが、早川で出ているのはこれとあと数冊(一冊?)ぐらいではないでしょうか。間違っていたらごめんなさい。入手しやすい「メグレ警視」シリーズです。

 ジョルジュ・シムノンってもう少しユーモアミステリ調で書いていた印象があったんですが、今回読んでみると前半の淡白さが何とも………。海外小説慣れしていれば軽妙さを見出す事ができるんですが、会話の深さを楽しむという点では物足りないかも。
 ただしラストにかけての、あまり捻ったトリックも無いが故の盛り上げ方が見どころ。使い古された表現で言えば、フランスの池波正太郎ですよね。
 池波正太郎風といえば、作中でよく酒を飲みながら捜査をしていたりして、優雅だなと思います。前半の抑えた描写と後半の対比、これがあってよくよく見るとキャラクター性もちょこちょこあって楽しめる一冊です。

 今まで知らなかったのですが、これ映画にもなってDVDも出ていますね。





 『メグレ警視 殺人鬼に罠をかけろ』(1958年)。DVDになったのは昨年11月なんですが、見かけたこと無いなぁ。主演がジャン・ギャバンですよ。メグレがどう描かれているのか、観てみたいものです。