さて、3/25(木)本日PM 6:00から二時間にわたって講談社 二階 N201会議室にて行われました、佐藤友哉×滝本竜彦 ファウスト・リベンジ・トークライブ。
この企画趣旨は「紀伊國屋サザンシアターでのファウスト・フェスティバル2003において周到なネタ打ち合わせをしていたのにもかかわらず、東浩紀に押されまくった佐藤友哉と滝本竜彦がそのリベンジとしてトークライブを行った………というものです。
以下、メモ。
(注:以下は個人的な記憶による「メモ」であり、「レポート」ではありません。正確性を欠いた書き込みの方がよっぽど多いです。それを公開するのも正直どうかと思いますが、何年か後に見ると面白いかなと思って書いておきます。またまた15分ぐらい遅れて行きましたので、最初の部分は不明です。いないとはおもいますが、テープを送ってやるから起こして書けという酔狂な方はご連絡を)
- 「最近の僕ら」
- 「今日、どうしてスーツなんて着ているんですか?」(滝本)
- 「ああ、今気がつきました。今日は白い靴下も履いていないですしね。こないだは洗濯をして、白い靴下を履くか裸足で行くかの二択だったんですよ。バシッとスーツに裸足というのは何なんだ、ということで苦渋の選択で白い靴下だったんですよ」(佐藤)
- 「そういう滝本さんは最近、どうしてますか」(佐藤)
- 「最近は朝七時に起きて、ご飯食べて、仕事して寝るという健全な生活ですね。実際には何にもやっていないんですけど」(滝本)
- 「私もだらだらして何にもやっていませんね。一日中、だらーっと過ごしちゃうんで」(佐藤)
- 「だらだら散歩とかしますね」(滝本)
- 「散歩するんですか? どこを?」(佐藤)
- 「昔行っていた大学の近くとか、大きなプラネタリウムとかあるんで、そのへんを。岡本太郎美術館とか」(滝本)←人物逆か?
- 「岡本太郎美術館は行ってみたいんですよ。あの「太陽の塔」を見て、皆さんが一様なリアクションをするでしょう? こんな斬新で衝撃的な………とか。だから見るときっとインスピレーションを得て、いい小説が書けるんじゃあないかと。(太田克史編集長に)そういう企画、やりませんか?」」(佐藤)
- 「うちの近所に似たようなのがあるよ」(太田)
- 「いや、「太陽の塔」は本物じゃあないと。遠いところって最近、東京タワーぐらいしか行ったことがなくって。しかも行った二回とも曇っていましたね」(佐藤)
-
- 「何か、こう、エレキウクレレとか、やりたいですね」(滝本)
- 「でも、ウクレレってこう、バンドの中じゃあ引くじゃないですか。一人だけ」(佐藤)
- 「音を大きくしなけりゃいいんですよ。一人だけアンプの音を下げて、こう………」(滝本)
- 「それ、バンドマンになりたいだけじゃあ?」(佐藤)
- 「何か、こう、エレキウクレレとか、やりたいですね」(滝本)
- 「でも、ウクレレってこう、バンドの中じゃあ引くじゃないですか。一人だけ」(佐藤)
- 「音を大きくしなけりゃいいんですよ。一人だけアンプの音を下げて、こう………」(滝本)
- 「それ、バンドマンになりたいだけじゃあ?」(佐藤)
- 「バンドマン、いいじゃあないですか。25歳無職小説家志望と、25歳無職バンドマン志望とどちらが世間に受け入れられますか?」(滝本)
- 「25歳無職小説家志望なら一つぐらいしか頭の中にイメージが浮かびませんが、25歳無職バンドマン志望なら友達おおそうですよね」(佐藤)
- 「そう、渋谷とか下北(沢)とか行ってそうで、かわいい彼女もいそうじゃあないですか」(滝本)
- 「下北沢を"下北"って略して言いそうですしね」(佐藤)
- 「だからミュージシャンになりたい、と」(滝本)
- 「いや、でも滝本さん人気者じゃあないですか。本も売れているし」(佐藤)
- 「こないだ、大槻ケンヂさんと対談したんですよね。その時に、大槻さんは「バンドやりゃあモテるよ」っておっしゃったんですよ」(滝本)
- 「バンドマンが言うと説得力ありますね。でもウクレレはやめたほうがいいと思いますよ」(佐藤)
- 「リベンジ」
- 「滝本さん、どうですか。最近誰かにリベンジしたいとか、ないですか」(佐藤)
- 「僕は基本的に人に恨みを持ったりしないですからね。小説とかではね、人を殺したり、見下したりキャラクターとか出していますけど」(滝本)
- 「いや、今「僕は」って言いましたけど、僕もないですよ人に恨みとか。もう暖かい感謝の気持ちでいっぱいですよ。小説にもちゃんと社会的弱者を描いて、決して人を見下したりしていませんよ。滝本さんの小説の主人公はそうじゃあないですよね。やっぱり作品が人柄を表していると思うんですよ」(佐藤)
- 「えっ、佐藤さんもひどい人書いてますよね? 僕は第一作からずっと普通の人間を主人公にしてきましたよ」(滝本)
- 「はい、この会場の中で滝本さんの最初の作品『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』( ISBN:4048733389)を読んで、健全な人間だと思った人………ほら、10名もいませんよ」(佐藤)
- 「じゃあ佐藤さんの『フリッカー式―鏡公彦にうってつけの殺人』(ISBN:4061821962)の主人公が健全な人間だと思った人………ほら少ない」(滝本)
- 「やっぱりね、小説中でも人とか殺したら、ダメだと思うんですよ」(滝本)
- 「いつまでもモラトリアムにしがみつき、学生気分ではよくないと」(佐藤)
- 「でも、本当にリベンジしたい人とか、いませんか?」(佐藤)
- 「いますよ。奴らとか、奴らとか、奴らとかですよ」(滝本)
- 「具体的な名前は出せないんですね」(佐藤)
- 「みんな、テレビとかに洗脳されている訳じゃあないですか。たとえば僕はさっき禁煙したんですけど、一時間ぐらい前に」(滝本)
- 「その台詞もう40回ぐらい聞きましたよ」(佐藤)
- 「禁煙しているんですけど、テレビを見るとカッコイイ男たちがいかにもカッコよく煙草を吸っている訳じゃあないですか」(滝本)
- 「じゃあ本当に煙草やめりゃあいいじゃないですか。今、煙草吸わない人のほうが多いですよ」(佐藤)
- 「そう思うんですけどね、なかなか難しいですね」(滝本)
- 「JTにリベンジするって所ですかね。でも、何に対してリベンジですかねぇ。やっぱ奴とか奴とか奴とかに勝たねば、とかですか。2003年はそうだったけど、長いスパンで見ないとと思って。42.195kmあるマラソンの中で、100mでいきなり走ってもしょうがないでしょ?と思うわけです、最近は」(佐藤)
- 「ファウスト」
- 「じゃあ具体的なリベンジの話をできないというところで、今度は両先生に具体的なお話をしてもらおうと思うんですよ。今、編集部の写真を後ろに映しますので」(太田)
- (『ファウスト』編集部の写真、壁モニタに映し出される)
- 「なんですか、これは」(佐藤)
- 「つい50分ぐらい前に撮ってきた編集部の写真です」(太田)
- 「これは売れている『ファウスト』という雑誌を作っている編集部の写真じゃあないですよ。どう見ても17歳の男の子の部屋ですよね。汚いなぁ。こういう所で仕事をしていると、心がすさみますね。でも、これを見てどうコメントをしろと?」(佐藤)
- 「では、もう一つ(パソコンの写真が映し出される) どうですか?」(太田)
- 「どうですって言われたって、コメントのしようがないですよね滝本さん?」(佐藤)
- 「そのデスクトップには何が映っているんですか?」(滝本)
- 「これはですね、講談社ノベルズ『空の境界 特別限定版』(奈須 きのこ・著 ISBN:4061823736)にamaz○nさんが、CDとかフィギュアとか何かつくとか勝手に書かれて、そうではないしそう書かれて困ると文章を書いていたところなんですよ」(太田)
- 「具体的な、生々しい状況をありがとうございました」(佐藤)
- 「じゃあこれはどうですか?(なまはげのお面が映し出される)」(太田)
- 「これ、なまはげ………ですか? 何ですかこれは?」(佐藤)
- 「これは石仮面なんですよ。作家の返り血を浴びて骨芯が編集者の頭に伸びる石仮面です」(太田)
- 「「俺は人間をやめるぞォーーーーッ」ってやつですね。石仮面、こんな所にあったんですか。ずいぶん赤いですね。あっ、でも、これ僕かぶった事がありますよ」(佐藤)
- 「僕もかぶったことがありますよ。視界が意外と狭くて、結構面白かったですね」(滝本)
- 「これ見てたらまたかぶりたくなってきましたね。後でかぶりに行っていいですか? ところで、これは誰のプレゼントなんですか?」(佐藤)
- 「これは西尾維新さんのプレゼントです」(太田)
- 「あの人のプレゼント、ホント迷惑ですよね(笑)。これなんか編集部にあるからいいけど、一人住まいがもらったらどうするんでしょうか?」(佐藤)
- 「次はこれですね。(サイン色紙のようなものが映し出される)この時は本当にありがとうございました」(太田)
- 「これ大変ですよね。ファウストの色紙なのに、ぜんぜん宣伝になっていないよ。自己主張が激しすぎる」(佐藤)
- 「これはね、営業の人が、色紙とかあると書店さんががんばって売ると思うんですよとか言われて作ったんですよね」(太田)
- 「言っておきますけど、私の所に夜中にバイク便で来たときには三人のサインが書いてあったんですよ(注:乙一が「もっと光を」、滝本竜彦が「真・善・美」、西尾維新が「夢も希望もありまくり」と書いている変な色紙だ)。ファウストのファの字も書いていないですよ。だいたい最初に書いたのは誰ですか?」(佐藤)
- 「西尾維新さんです」(太田)
- 「諸悪の根源じゃあないですか(笑)」(佐藤)
- 「乙一さんがちょっと軌道修正をしたっぽいですね」(太田)
- 「私は、こういう自己啓発系の事を書かなきゃいけないのかなと思って(「真・善・美」)」(滝本)
- 「これ、西尾さんが色紙買ったんですよね。夜中に電話したら、色紙買っていて、なんでって聞いたら、「夢」の下の棒を二本書いちゃったんで、20枚ぐらい買っていると。バイク便は講談社もちですけど、お金のかかった色紙でした」(太田)
- 「夢」
- 「夢……ですか。まぁ、残りカスなので」(佐藤)
- 「いつか、客席をわかせるトークをしたいですね。あと、次のファウストでネタが被らないようにしたいですね」(滝本)
- 「ファウストvol.2では本当にネタが被りましたね。みんな他人を見下しているような主人公で、ある種の選民思想があるようで………次は誰にも被りませんよ」(佐藤)
- 「それはすごい面白いということですか」(滝本)
- 「いや、被らないというだけです」(佐藤)
- 「そんな近い夢じゃあなくて、もっと遠い夢………たとえば、佐藤さんは10年後の自分をどうしようとか考えませんか」(滝本)
- 「10年後って………考えたことないですよ。滝本さんとか考えます? 売れっ子作家になるとかでしょうかね」(佐藤)
- 「傑作を書くとか」(滝本)
- 「希望している場所に行きたいですね」(佐藤)
- 「それはどこなんですか?」(滝本)
- 「いや、それは言えませんけど。だいたい、夢を大きく持ちすぎると大変ですよ。大きく持ちすぎて挫折したとき、どうするんですか」(佐藤)
- 「自分は最近、自己啓発系の本を読んでいるんですけど、それによると願っているといつかかなうらしいんですよ。だから自分も信じて生きたいですね」(滝本)
- 「それ、ずっと念じているといつかかなう、ってやつですか。そんなの本当にかなったら大変ですよ。誰も努力しなくなってしまいますよ。そういうのを読んでいる時点で人生の負け組ですよ」(佐藤)
- 「そうか………そうなんですか」(滝本)
- 「そんな困った顔しないでくださいよ」(佐藤)
これ以降が質疑応答で、はっきり言ってそっからが面白かったんですがメモとっていないので書けません。とりあえず、佐藤友哉は『エナメルを塗った魂の比重―鏡稜子ときせかえ密室』(ISBN:4061822101)が重版され、全ての作品が重版されたということで「重版童貞」卒業を宣言。おめでとうございます。